さくらの会設立に寄せて

 本会は、福島県立医科大学附属病院整形外科で骨・軟部肉腫の治療を受けられた(あるいは現在治療を受けられている)患者さんおよびそのご家族の方々に集まっていただき、交流と情報交換をしていただくための会です。

 

 さくらの会の「さくら」は、肉腫(sarcoma(サルコーマ))を治療した(cured(キュアード)人々、仲間(race(レイス))を意味する英単語の頭文字sa、cu、raから採りましたが、それと同時に福島県立医科大学キャンパスが、福島市内でも有数の桜の名所であることにちなんでいます。

 

 外来や病棟で骨・軟部肉腫の患者さんと話をしていると、「自分のような病気の患者さんは他にもいるの?」、「こんなにつらい治療をほかの人も受けてきたの?」などの疑問の声や、あるいは、「自分と同じ病気の人と話してみたい」というご要望をいただくことがたびたびありました。たまたま、同じような病気で同じような治療を受けている(あるいは治療が一通り終了した)患者さんが病棟や外来に居合わせていたとしても、「あの人はあなたと同じ病気ですよ」、「あの人はあなたと同じ治療をした「先輩」なので、お話しを聞いてみては?」と患者さん同士を引き合わせることは、患者さんの秘密を守らなければならない私たちの職責のためにできませんでした。これまでは「まれながん」である骨・軟部肉腫についての情報を得ることは非常に困難でしたが、近年の情報化の発展によって、患者さんが容易にたくさんの情報をインターネットから得られるようになった一方で、情報の取捨選択に悩んでしまい、治療をなかなか進められなくなる問題を見聞するようになりました。また、インターネット環境がない患者さんにとっては、情報を集めること自体がいまだに困難な状況です。そこで、患者さんたちが自らの体験を語ったり、悩み事を相談したりするために集まって、情報を共有することができる場をつくりたいと考えました。患者さん自身あるいはそのご家族の治療体験こそが最も有益であり、患者さんが知りたい情報であると確信し、本会を設立することとしました。

 

 たくさんのみなさまのご協力とご尽力によって、2010年3月14日に第1回の会合を開催することができました。さらに2010年9月26日には第2回の会合も開催することができました。

 

 今後、本会の発展を通じて、「忘れられたがん」とも称される骨・軟部肉腫という病気を医療関係者や一般の方にも広く知って、理解していただけるよう活動していきたいと考えております。

 

 本会の活動について、ご指導やご助言、あるいはご援助いただきますよう、お願い申し上げます。

 

 さくらの会スタッフ一同